今日ご紹介するのは尾張旭の『どうだん亭』。
一瞬、居酒屋か定食屋さんかなと思ってしまいそうなネーミングですが、
普段は尾張旭市の教育文化施設として、団体さん等が申請をして部屋を使うことが出来る施設です。
料金は何と一時間350円(安いほうは150円)!
国の登録有形文化財がカラオケBOX並みの値段で借りられるなんて驚きです!
その『どうだん亭』が今、一般の人が見ることが出来る、春の公開をしています。
公開時期はひな祭りの頃、ドウダンツツジの花が咲く頃、秋の紅葉の頃です。
この一般公開は何と無料。駐車場も臨時でたくさん出来るし、案内のおじさんもたくさん居ますので
車でも訪れやすいですが、市のHPではバスをご利用くださいと書いてありました。
立派な和風門構えの入り口
どうだん亭の入り口は昔ながらの和風門構えです。
昔の和風のお家の面構えで使われる数奇屋門の横に板塀の壁があります。
どちらも屋根を瓦で葺いてあり、家の一部のような感じで、大工さんが作ったと思われます。
凄く立派な門なのに、周りの生垣の背が高すぎて埋もれてしまっている気がします。
何か理由があるなら良いんですが、もう少し低く出来たら門が引き立って一層良くなると思います。
天然石をふんだんに使った園内
アプローチはこぶし大くらいの天然石が敷き詰められています。
現地で見たときは幡豆の割栗石かなと思ったのですが、写真を見返してみると面取りしてあるし
青い色が汚れてグレーに見える様な気がします。
揖斐の石かな?
飛び石は御影石のようですが、赤色が入っています。
このどうだん亭は元々、飛騨市(当時は岐阜県吉城郡坂下村)に合った建物を1942年に尾張旭市に
移築したものであるということなので、飛騨市のあたりで取れる石を使ったものかもしれません。
雰囲気は素晴らしく植物との相性は抜群です。
しかしながら一つだけ気になるポイントが。
石を敷き詰めたアプローチの歩きやすさです。
実は当日、こちらにはたくさんの高齢者の方々がお見えでした。
杖をついた方、歩行器を押しながら歩く方。
それぞれ凄く大変そうでした。
杖をついていた方は、杖が石の間の深い目地に入ってしまって上手くバランスが取れないので
杖をついた上で、隣の植栽をつかみながら歩いておられました。
また、歩行器の方は石ががたがたなので、車輪が石に取られてうまく進めず困っておられました。
石の表面のがたつきや目地の深さが歩き難さの原因です。
正直なところ、私はまったく不便を感じませんでしたので
その光景を見るまで歩き難さに気がつきませんでした。
石を敷き詰めるデザインはとても素敵ですが、この様なものを作るときは
素材の選定、仕上げの仕方をしっかりと吟味していかないといけないと改めて感じました。
雰囲気のある屋内
屋内はまさに古民家といった雰囲気です。
むき出しの梁や囲炉裏、灯具等がとても素敵。
額縁の様な窓枠の向こうには素敵な庭園が
どうだん亭HPよりこの庭の説明を見ますと
どうだん亭の名前の由来となっているドウダンツツジの美しい庭園は、謡曲「紅葉狩」をモチーフにこの頃に造られ、「幸福(松竹梅)」の中で「鶴(飛び石と枯れ池)」と「亀(築山)」が群れ遊ぶ様子が表現されています。(どうだん亭HPより引用)
実はこのお庭は窓からずっと奥に広がっていて石組み等を近くで見ることは出来ません。
考えるに、黒い石組みが鶴その周りの白いゴロタ石が池、その周りに広がるサツキツツジの築山が
亀をあらわしていると思われます。
モチーフのとおり、池の中で鶴が遊んでいてその周りに亀が居る。
そしてその場所は松竹梅で囲まれた森の中。
確かに見ていると気持ちがほんわかしてきます!!
和風のお庭でもコンセプトが大切ですね。
それにしても、手前に広がっている苔の島。焼けてしまっていますが生きている。
苔はスギコゲのようですが、これだけ日当たりの良いところでずっと生きているのは凄い。
とても素敵な和庭です。
実はドウダンツツジは紅葉がとても美しい樹種です。
葉は燃えるような赤い色になります。
秋の紅葉もリポートしなければいけませんね。
最後にどうしても気になるこの灯籠
最後にとても気になったこの灯籠。
一般的に灯籠は石を加工して作ってあるのがほとんどです。
この様に陶器で作ってあるのはとても珍しいと思います。
このあたりは瀬戸、常滑、多治見、美濃など焼き物の産地がたくさんあります。
色は常滑焼のような色をしているようですが、どこの灯籠でしょう?
焼き物に詳しい方、もしわかったら教えてください!!