2014年4月15日に弊社の所属する、一般社団法人 中京エクステリア協会の総会があったので
私も参加してきました。
総会の中のプログラムの一つに、史上最年少で黄綬褒章を受章された小林徹先生による
公演があり、『これからの職人について』の大変興味深いお話をお聞きしました。
(前に書いたブログ、「実はすごい技術!今ではほとんどやらない階段蹴上の洗い出し仕上げを見よ」
にも職人さんの技術や不足の問題について書きましたが、この公演の内容は非常に興味深いもの
でしたので、また別の機会に書きたいと思います。)
その公演の中で紹介された、2月の北関東に降った大雪で潰れたカーポートに関してのお話が
とても衝撃的だったので、その件について書きたいと思います。
(この記事は、小林先生のお話と頂いた写真を参考にしながら、柴垣が勝手に推測しながら書きます。
事実と違っているところなども出るかも知れません。ご了承ください。)
一体どれ程の雪が降ったのか?
まず考えなければいけないのは、北関東で降った2月の大雪がどれ程降ったのかという事です。
「2月 北関東 大雪 データ」でググッと検索したところ
内閣府が作成した「2月14日から16日の大雪等の被害状況について。2月17日16:00現在」という資料が出てきました。速報値だと言うことなので、変わるかもしれないと書いてありますが、それによると
写真が撮影されているであろう、小林先生の地元、熊谷周辺の積雪量は31cmとなっています。
(上の写真の雪は40から50cmくらい積もっているように見えますが・・・)
では、その雪がカーポートに積もると一体どれくらいの重さになるのでしょうか?
一般的な一台分のカーポートの大きさで、一番小さいものが2.4m×5m位なので12平米。
そして、高さである31cm=0.31mをかけると3.72立米となります。
1立米あたりの雪の重さは(調べると色々出てくるので全て正しいわけではないですが)、
新雪で50kg~150kg。締まり雪で250kg~500kg。
データは17日の積雪量なので大分雪が締まっていると仮定し、立米あたり500kgとすると
3.72立米×500kg=1860kg 1860kg!!
調べたところ写真に写っているワンボックスカーと同じくらいの重量です(本当だろうか?信じられない!)。
屋根の上に車が乗ってると考えたら、普通に潰れてしまう気がします・・・
雪って怖いんだなあ。
全てのカーポートが潰れたのか?
写真はサイクルポートです。
ぱっと見でも30cmは積もっていますね。でも壊れていない。 あれ?
このカーポートも潰れるまではいっていません。
屋根に波板が張ってあるカーポートは今、主だったエクステリアメーカーでは売っていないので
新しいものでは無いと思われますが壊れていない。
何故だ?
どうやら潰れた原因はカーポートの製品上の問題だけでは無く、周りの環境や状況、気象条件などによってかわってくる様です。(小林先生も一概に原因はこれだとは言えないと仰っていました。)
『結局は運』という事になるのでしょうか?
しかしながら、この雪の影響で相当な数のカーポートが壊れたと言うことです。
(カーポートが壊れたということは、その下にある車も少なからず影響を受けているはずです。)
どれくらい壊れたのかと言う数字は分かりませんが
今現在も、LIXIL、三協アルミ等の主要エクステリアメーカーのカーポートの納品状況は最悪です。
3月末の状況は本当にひどいものだったので、私は「消費税増税とハウスメーカーの決算が重なって
いるからかな?」くらいに思っていたのですが、この雪で潰れたカーポートを建て替える為の
注文が凄い数になっているからというのが大きな要因だということです。
積雪地帯はどんなカーポートを使っているの?
では、積雪地帯はどんなカーポートを使っているのでしょう?
北陸でエクステリアデザイナーをしている友人に聞いてみたところ
『北陸では普通のポリカ屋根のカーポートはつけない。ほぼスチール折板型屋根のカーポートをつける。
それに、朝から車で普通に(雪かきをせず)出かけられるように、かなりの数のお客様がカーポートをつける。』
衝撃的・・・
そこまで違うとは思っていませんでした。
メーカーは各社当然、日本の気候に合うように積雪加重別のラインアップをしています。
一番積雪加重の小さいものでも20cm(雪質によって8cmと書いてあるメーカーもある。
今回の北関東のカーポートも地域的に殆ど20cm仕様をつけていたのではないでしょうか。)。
最も重いもので200cmまでいけるものある!!
雪が降るところなら、雪が降る用のカーポートをつける。
それ以外のものがついていて、雪で壊れても当然メーカーは責任を取る必要はありません。
当たり前のことなのですが、私が住む愛知県では20cm以上積もる雪が降ることは
ごく稀ですので普通のカーポートの事以外、今まで考えたことがありませんでした。
(カタログに載っているので、知識として知ってはいましたが・・・)
愛知・岐阜・三重はどれくらい雪が降るの??
そこで、愛知・岐阜・三重の年間降雪量を1981年から2010年までのデータを集計・平均した
こちらのサイトで調べてみると
愛知県の降雪量は日本の都道府県のなかで22位の16cm
岐阜県は16位の47cm
三重県は28位の7cm
埼玉県は20位の22cm
確かに愛知とは6cm違うけど、20位と22位ってそれほど違いが無い気が・・・
それに、このデータは年間平均であるので、一度に降る量ではありません。
今回は一気に31cm。
20年か30年に一度の大雪だったということもあるのかも知れませんが
愛知県も今回のような大雪がいつ降るとも限りません。
(このデータから考えると岐阜県は積雪20cmのカーポートつけられませんね・・・
三重県は雪のイメージはあまり無いのですが、御在所のあたりなんかは降るんじゃないのかなぁ?)
正直なところ、普通のカーポートをつけている場合ではないかもしれません。
積雪20cm対応から積雪30cm対応に進化する対応ユニット
しかし、普段からあまり雪も降らないのに豪雪地帯用のカーポートをつけるのもちょっとなあ。
何か良いものはないかと探してましたら、
積雪20cm対応から積雪30cm対応に進化する対応ユニットなるものがあった!!
簡単に言うと、着脱式のあと付け柱がつけられるということです。
(大手メーカー全てこの様な着脱式の柱がありますが、この2社が積雪20cm→30cmへ対応という風に書いてありました。また、私が良く使うフラット屋根タイプの物で調べております。)
今まではカタログを見ていても、「サポート材あるのか」位にしか考えてませんでした。
しかし、雪の被害を目の当たりにした後では全然違ったものに見えます。
20cm→30cmでは今回のような記録的な大雪には全く歯が立たないものかもしれませんが
『転ばぬ先の杖』になるかもしれません。
YKKの場合対応ユニットが幅24/27用で定価¥64,500。取り付けるためのアンカー工事費も少し必要かな。
激安カーポートならこれくらいの値段で買えてしまうものもあると思いますが、カーポートはもう
安売りする時代では無い気がします。売るほうも買うほうも考えないといけません。
それにしても、何でエクステリア商品は新商品でも30%OFFとかで売るんだろう。
そもそも、それがおかしい。そんな商品ほかにあるかな?
カーポートをつけないと言う手もある!!
最後にこれを言うと、元も子もなくなるかもしれませんが
カーポートをつけないという手もあります。
カーポートはあると便利です。特に積雪地帯などでは必需品だと思います。
良い点は
・乗り降りのとき雨にぬれにくい。
・車が汚れにくくなる。
・雪などで車が埋まらない
悪い点は
・お家の見た目を悪くすることが多い
最後の悪い点はエクステリアデザインをするときにデザイナーがものすごく悩むポイントです。
また今の時代、カーポートを作る代金で車に良いコーティングを施す事もできます。
サイクルポートもその代金で何台の自転車が買えるでしょうか?
最も重要なのは、住まう方がどのような事を望まれるかです。
そのために我々はしっかりとした知識を持ってお客様に提案をしていかなければなりません。
今回のことで改めて勉強し続けないといけないなと思いました。